人の死は遺された者の生き方を変える

近所の一番仲のいいおばあさんがステージ4の末期ガンだとわかりました。

おじいさんが亡くなって今週でちょうど1年、おばあさんも後に続くことが決まったわけです。

さびしいものだね

ポチャナンダ

でもおばあさんは死ぬことを恐れてはいません。

「もう十分生きた」

そういう心境のようなのです。

すばらしい歳の取り方をしたのう

デブッダ

今までいろんな人の最期を見てきました。

祖父母や親戚の叔母たち…

僕はそのどの死にも心から感謝しています。

どういうことなの?

ポチャナンダ

もちろん別れは寂しいです。

でもどの死も遺された人たちへのプレゼントだと思えるのです。

今日はそれぞれの死が僕に教えてくれたことについてお話ししようと思います。

60才を前に末期ガンで亡くなった叔母が教えてくれたこと

何よりも先に思い出すのは叔母の死です。

教育者で、生徒だけでなく職場の同僚にも心を配り続けた人でした。

小さなお葬式をするはずがたくさんの教え子や元同僚がつめかけてしまい、葬祭場が人で溢れかえるという事態になったほどです。

別れを惜しむ人たちがたくさんいたんだね

ポチャナンダ

その叔母が亡くなる数ヶ月前、駅で涙をポロポロ出しながら僕を見ていた目がいまだに忘れられません。

「孫が大きくなる姿を見られないのが悔しい」

泣きながら僕に言ったこの言葉が今でも頭にこびりついています。

そして僕の手を握り、「自分の人生を一生懸命生きなさい」と言いました。

思い出しただけで涙が出てきてしまいます。

今も泣けて泣けて仕方がありません。

僕に湧き起こるこの感情はなんなのでしょう?

強い想いは人の心を動かす

僕が思い出しただけで泣けて仕方がないのは、叔母の思いが強かったからだと思うのです。

叔母の思いのエネルギーが大きくすぎて僕の心を動かしてしまったのだと思うのです。

かわいそうとか考えることもできないくらいの猛烈なエネルギーに圧倒されました。

そのエネルギーが僕に与えてくれたメッセージ。

それは「悔いのない人生を生きろ!」です。

叔母は仕事が大好きでした。

寝る間を削って仕事をしてしまうくらい仕事が好きな人でした。

その極度のハードワークが気がつけば免疫力を低下させ、ガンの進行を早めてしまったように思うのです。

別の叔母もハードワーカーで若くしてガンで亡くなった

実はもう1人同じ時期に亡くなった叔母がいます。

さきほどの叔母とは同級生で高校時代からの仲良しでした。

2人とも教育者としての道を進み、教え子たちに愛され幸せな仕事生活を送りました。

しかしやはりこちらの叔母もほぼ同じ時期にガンで亡くなりました。

この2人の叔母の死は当時新卒で入社したてで仕事が大好きだった僕の価値観を大きく揺さぶりました。

仕事が人生のすべてではない

叔母たちが仕事が大好きだったことは間違いありません。

だからといって家庭を顧みないような人でもありませんでした。

家族も大事にし、仕事も大事にする。

しかしいざ死を目の前にした時、身体を蝕むような時間の使い方をしてきたことを後悔したのです。

そしておそらく気づいたのだと思います。

仕事は家族との時間を削ってまでやるべきことではないと。

Appleを世界一の企業にしたスティーブ・ジョブズも膵臓がんに苦しめられました。

一度は余命3ヶ月から奇跡の復活を遂げるのですが、最後は同じガンで亡くなります。

そんな彼が晩年残した言葉は、仕事ばかりで家族との時間をしっかりとれなかったことを悔いています。

スティーブ・ジョブス最後の言葉

内容を抜粋すると、

  • 他の人の目には私の人生は成功の典型的な縮図に見えるだろう
  • しかし仕事をのぞくと喜びが少ない人生だった
  • 富など私が積み上げてきた人生の単なる事実でしかない
  • 名声も富も迫る死を目の前にして色あせていき、 何も意味をなさなくなっている

叔母の思いはスティーブ・ジョブズの思いと同じなんですよね。

富や名声を手に入れなくても後悔はしない。

でも家族との時間を持てなかったことは強い後悔を残す。

叔母の最期の言葉は知識ではなく体験として僕に残してくれました。

イカさん

叔母たちとは今でも瞑想中にお話ししています。思いやりが持てなくて苦しんでいる僕に余裕を与えてくれるのです

どの死も僕が生きる上での知恵を与えてくれた

叔母の死は猛烈なインパクトがありましたが、祖父母の死も僕に生きる上での知恵を与えてくれました。

  • 祖母の自殺はテレビニュースが人の心に与える影響
  • 祖父の死は酒の怖さ
  • もう1人の祖父は延命措置の意味

今でも祖父母とは瞑想中に話しますが、素敵なプレゼントをありがとうと伝えています。

イカさん

死者との対話については以前書いたものがあるのでよかったら見てください

きっと今回の別れも素晴らしいものになると思う

僕は輪廻転生の仕組みを信じています。

本を読み、瞑想するうちに「これは間違いないだろう」と思うようになりました。

だから死は終わりではなく新しい生の始まりだと思っています。

近所のおばあさんもきっと輪廻転生を信じているのだと思います。

彼女は言います。

「痛いのは嫌だけど、死ぬことはこわなくない」

そんな人だから死を目の前にした心境を素直に話してくれるのです。

おばあさんには息子さんと娘さんがいるのですが、抗がん剤や放射線の治療もせず、緩和ケアだけをして最期を迎えたいという本人の意向を尊重してくれています。

ありがたいことにそんな貴重な時間を僕は共有することができています。

  • これから死に向かっていくおばあさんが何を思い語ってくれるのか?
  • 母親の死に向かって過ぎていく時間を息子さんと娘さんはどんなふうに受け止め過ごしていくのか?
  • そしてそんな姿をそばで見ている僕は何を思うのか?

最期が来ることがわかっていて、残された時間を意識しながら生きる。

それって死を直視できない時は恐ろしいものでしょうが、死を直視できたときとてつもなくかけがえのない時間となります。

死を目の前にしたおばあさんと話しているとき、僕らの間で流れる空気はとても穏やかで幸せなものです。

おばあさんは日に日に肌ツヤがよくなってきていて、進行したガンに侵されているとは信じられないほどです。

メメントモリ「死を意識することで今を大切に生きることができる」

今僕は最後の命の輝きを見て、そんなふうに思っています。

最後まで読んでくださりありがとうございました。

最近感動した本(アウシュビッツ収容所で生き残った世界的心理学者が書いた不朽の名作)

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