なぜ親になると自分の親に対する否定的な思いがなくなってくるのか?

正直なところ、僕はずっと両親に対して否定的な思いを抱いてきた

どちらの親にどんな気持ちを抱いてきたかは書かないが「どうしてそんなに〇〇なんだ!」という気持ちを抱えてきた

だから実家に帰ると口論になり、時には怒り狂うこともあった

実家にはいられないと思い、就職して半年で一人暮らしをはじめた

恥ずかしい話だが、30代になってもずっとその気持ちは消えることなく、久しぶりに会っても否定してしまう

否定されるから否定しかえしてしまうという構造なのだが、どうにも止めることができなかった

そんな僕だったが、親になって6年経った今では親に対して怒りが湧いてこない

「自分が親になったから親という存在を肯定したいだけだろ?」

かつての自分からそんな言葉が聞こえてくるが、それは違うと思う

保身とか自己防衛のために親を否定しなくなったわけではないと思う

怒りがわかなくなった理由は実にシンプルである

親は人間として不完全なまま親となり、特に第1子に対してはすべてが初めて。ぶっつけ本番。改善する余地がないまま子供は育っていく

ということが分かったことだ

そして何より

幸せであってほしい

と思うようになったことで僕は親に対して怒りを感じなくなった

僕は運がよかった

40歳で親になった

親の意に背き、わがまま放題にやりたいことに挑戦し、ことごとく挫折し、自分の器がわかったころに親になった

「あれもやりたい」

「これもやりたい」

と落ち着きなく動き回っていた頃より落ち着いてから親になった

「今結婚して子供を作らなかったら、この子は母親になれずに終わってしまう」

そう思ったから結婚しようと思って結婚したし、子供を作ろうと思って子供を作った

ちゃんと覚悟を持って親になれたことも運がよかった

「もし落ち着きのなかった30代にできちゃった婚で子供を持ったらどんなだったろう?」

親になってからそう思った

とくに子育てにキツさを感じてたときにそう思った

やりたいことがあるのに子守をしなきゃいけない時にそう思った

苦しみというのは執着が生む

「〇〇が欲しい」

「〇〇をしたい」

「〇〇に〇〇であってほしい」

「〇〇と思われたい」

こういう執着が叶えられない時に苦しみは生まれる

執着を諦めることができれば苦しみにはならないが、そう簡単に諦められるものではない

親も人間である

欲望や執着を持つ人間である

完全な存在ではない

しかし少なからず親は子供に対して「自分は上」という意識を持ちがちである

最近では子供を一人の人間として対等に見るという考え方が広がりつつあるように思うが、僕の親の世代はバリバリの戦後世代である

「親に口答えするな!」と当たり前に言われて育った世代である

親子の関係を縦に見ることが当たり前の世代である

親が子に対して縦の関係を持ってしまうと子供は親に対して全能感を持ってしまうと思う

しかし子供は育つに連れて親は全能ではなく、無能な面もたくさんあることを知る

もしそこで親が子供に対して否定的な物言いをしなければ子供も親に対して否定的な気持ちは持たないと思う

しかし否定してしまうと防衛本能が働く。否定した相手を否定したくなってしまう

これが反抗期の構造だ

僕の娘はまだ6歳だから反抗期にはなっていない

あと6年も経てば反抗期に入るはずである

反抗期というのは言葉を変えれば子供が自立しようとする意志を持ち始める時期

大人になるための試行錯誤を始める時期だ

試行錯誤だから妙なことを始めることもあるだろう

妙な行動に対して不安になることもあるだろう

口出ししたくなることもあるだろう

僕の両親はいたって普通の両親だった

反抗期の息子に対して心配し、自分の価値観と合わない部分はたしなめた

場合によっては否定し、やめさせようとした

変えようとした

僕がそうならないという保証があるだろうか?

実際に娘が心配な行動を取り始めた時に口を出さずにいられるだろうか?

娘を信じ続けることができるだろうか?

子供の反抗期に子供を信じ続けることは簡単なことではないと思う

プライドという執着を捨て子供と横の関係を築くことは簡単なことではないと思う

きっと僕の両親も葛藤したはずだ

子供を愛してない親なんてほとんどいないと思う

でも自分の欲や執着との折り合いがままならなくて上手いとはいえない言動をしてしまうのだと思う

僕の両親も葛藤のあげく上手いとはいえない言動をしてしまったのだと思う

こんな風に思うようになったので、今はもう両親に対して怒りなど湧かなくなってしまった

もうふたりとも70代である

人生100年時代とは言われるが、100歳まで生きる保証は全然ない

今年亡くなってしまっても全然不思議ではない

子供を愛してない親なんてほとんどいないように、親を愛してない子供もほとんどいないと思う

本当は素直に愛したいけどそうはできない現実が横たわっているだけだ

子供に対して親は何もしてあげられないように親に対して子供も何もしてあげられない

できるのは

  • 相手の未来を信じること
  • 幸せを祈ること

それだけである

それだけであるが強力な力である

娘に向けているそれらの気持ちをこれからは親に対して向けていこうと思っている

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です