自分の資質を生かしきって、満ち足りた人生を送ろう

 

いつもの場所でタバコを吸おうと思ったら配置が変わっていた。

そもそも喫煙スペースというのは、社会的には嫌われ者だから、吸わない人に邪険に扱われがちだ。

今朝配置が変わっていたことはもちろん悪意があってやったことではないと思うのだけど、

それを見たときに何とも思わない自分がいて、

「あ、俺変わったな」

と思った。

 

以前の自分なら多少の不満や疑問を持っていたシーンだった。

「どうして__という風に考えられないんだろう?」とか

「余裕がないんだろうな〜」とか。

 

でも今回は何も思わなかった。

変化した配置のまま椅子に座り、タバコを吸った。

目を閉じて呼吸に意識を移し、冷たい空気の流れを感じ、遠くに飛んでいるトンビの声を聞いていた。

今に集中した。

余計なことは考えない。

何か考えが浮かんできたらバイバイして、目の前の闇を見つめる。

 

何も考えずに自分の今おかれている状況を観察していると頰が緩んでくる。

「あぁ〜、今日も生きてるなぁ〜」

言葉にはなってないけど、そんな感覚になり、笑顔になる。

唇から力が抜けていく感じがいい。

唇から力が抜けると目元も緩んでくる。

自然と優しい表情に変化していく。

 

少し吸ったら満足したのでタバコを消すことにした。

携帯灰皿に入れておけばすぐに火は消える。

残りの分はまた後で吸おう。

アメリカンスピリットというタバコだからできる息の長いタバコの吸い方だ。

 

タバコの火を消してふと椅子の横を見てみたら、フロアマットが20センチくらい積んであった。

なるほど、これをこの場所に置きたかったから配置を変えたのか。

僕はタバコのセットをエスニックな柄の肩掛けポーチに入れているのだけど、肩にかけたままだとリラックスできないから近くにいつも置くようにしている。

いつもは少し高い場所に置いているのだけど、試しに新しく積まれたフロアマットの上に置いてみた。

絶妙な高さだった。

腕を下に伸ばしきったちょうどいい位置に積まれている。

本当に些細なことなのだけどすごく嬉しくなった。

 

僕は偶然が好きだ。

意図して起こすことと違い、偶然には驚きという喜びがある。

だから僕はヒットを意図して作ることよりも、偶然生まれたヒットの方を好む。

残念ながら、偶然は意図して起こすことはできない。

偶然が起こりやすくなるコツはあるけど、意図したときのように次々と起こすことはできない。

でも、偶然に起きたヒットというのは、意図して起こしたヒットよりもパワーがある。

瞬く間に広がっていく力がある。

作った側が驚くだけでなく、見る人たち、使う人たちにとっても驚きは大きいのだと思う。

 

僕はあまり賢くない。

だからヒットの方程式が見えない。

ヒットの方程式はシンプルなのかもしれないけど、全然見えない僕にとっては複雑に思える。

 

クリエイターとして、ヒットを飛ばし続ける存在になれたらいいなと思うけど、どうやら僕はそういう存在ではないみたいだ。

たまたまマグレ当たりを出す人。

それが僕の立ち位置なのだろう。

 

若い時は理想の自分になりたくて必死にもがいていたと思う。

変わろうとしていただけでなく、「あんな人になりたい」と思っていた。

自分ではなく、他の人。

ロールモデルがあった。

マイケルジョーダンだったり、レイクロックだったり、高橋歩だったり、スティーブジョブズだったり。

 

でも目指すべきは他人ではなかった。

自分だった。

自分の資質を生かしきった自分。

目指すべきはそこだったのだ。

 

ロールモデルの人物から生き方のエッセンスをいただくのはいいと思う。

でもロールモデルの人のように生きようと思っちゃうと、自分と乖離しちゃってよじれる。

他人には他人独自の資質があって、自分には自分の資質がある。

それを生かしきっていくことが満ち足りた人生を送る上でのコツなのではないか。

 

そんな風に思った今朝の出来事だった。