アマゾンの樹液を飲む会という怪しい会に参加したことがある

 

社会人3年目、25歳の時、会社の先輩2人に誘われて、「アマゾンの樹液を飲んでブラジルの歌を歌う会」という怪しい会に参加したことがある。

ある日、同じ事業所で働く先輩2人が興奮した面持ちでやってきた。

 

「岡本!(僕の本名)すごい経験ができるセミナーを見つけたぞ!」

 

ちなみに当時僕が勤めていたのは健康食品系の怪しい会社でもなければ、ネットワークビジネスの会社でもない。

まだベンチャー気質の残っていた上場4年目の普通の会社である。

(詳しくは「詳しすぎるプロフィール(学生編)こうして僕は社会人になった」をご覧ください)

 

セミナー??
うさんクセェ…。

でもその2人はとても面白くて、一緒にいて飽きない大好きな先輩たちだった。

人間の可能性を追求するタイプの人たちで、自己啓発セミナーに頻繁に通っていた。

 

「瞑想」という言葉を教えてくれたのもこの人たちだ。

「岡本〜、瞑想はいいゾォ」とよく言っていた。

当時は瞑想という言葉に胡散臭さを感じていたため、興味を示せなかった。

15年も経って独学で瞑想をやり始めた僕は、その効果に驚き、今では日常的に瞑想をするようになった。

もしあの時瞑想を始めていたら会社をやめた後の(やめざるを得なかった後の)暗黒の10年はなかったかもしれない。

(会社を辞めざるを得なかったエピソードは「こうして僕はアプリ開発者になった」で書いています)

 

先入観で判断するのってもったいないことかもしれませんね。

今ならとりあえずやってみて、合えば続けるし、合わなければやめる。

でもあの頃の僕には瞑想の良さまで到達できなかったような気もする。

心穏やかじゃない時に始めたから瞑想の効果を実感できたのだと思う。

結局物事は起こるべく時に起こるのかもしれない。

 

先輩たちとはその時点で3年の付き合いだったが、彼らが行く自己啓発セミナーに一緒に行こうと誘われたことはなかった。

誘われたのは初めて。

胡散臭いとは思いながらも話を聞くことにした。

 

「大きな部屋を真ん中で区切って、男と女に別れるんだよ」

「すると大きなバケツの中にアマゾンの樹液が入っていてさ、それをコップ一杯ずつ飲み干すんだ」

「それがクソまずいんだけど、それを飲んだ後しばらく経つとみんなバタバタと倒れていくんだ」

「もちろん俺も倒れたんだけど、そのあとすごい感覚になるんだよ」

「時間がどのくらい経過したか分からないんだけど、しばらくすると目が覚めて、涙が止まらないんだ」

「自分の中の何かが崩壊するんだよ」

「すごい体験だった」

「あまりにすごいから俺たち今週末もう一回行こうかと思ってるんだ」

「それで、今回はお前もやってみようかと思ってさ」

 

こんな感じの話だった。

 

正直全然イメージできなかった。

行ってみないとわけが分からない。

「今までいろんなセミナーに行ったこの人たちがこれほど勧めるなら行ってみるか」

そう思ったので行くことにした。

 

参加費は2日間で2万円

「2時間で一万円かよー。たっけぇ〜!」

とは思ったが少し楽しみになっていた自分もいた。

 

週末になった。

たしか場所は恵比寿とかその辺だったと思う。

昔すぎて覚えてない。

 

3人で駅から歩いて現地に着いた。

そんなに大きくない普通のビルの1階にあるホールの前に看板が出ていた。

「ブラジルの歌を歌う会」

樹液のことは隠してある。

怪しい…。

 

入ってみるとバレーボールコート一面くらいの広さの大きな部屋だった。

すでにかなりの人が来ていた。

言われていた通り男女に分かれた。

手前が女性、奥が男性。

僕らは男性エリアの後ろの方にあぐらをかいて座った。

 

所々に空のバケツが置いてある。

アレに樹液をいれるのかなぁ、と思った。

 

時間がきた。

 

会場には80人くらいの参加者がいる。

ブラジル人と思われる風貌の男が前に出てあいさつした。

 

「皆さん、ヨウコソ!今日は楽しく歌いましょう!」

 

と簡潔なあいさつをした。

 

すると2つのバケツが運ばれてきて、その中にはアマゾンの樹液と思われる液体が入っていた。

空のバケツに入れるわけではないのか。。

 

見た目は汚水のようである。

その汚水のような液体を陶器のお椀に入れていく。

参加者が前の列から順番に飲んでいった。

 

待っている間、ふと横を見ると先輩たちの目が輝いていた。

ワクワクしている。

楽しみで仕方がないらしい。

 

僕らの順番がきた。

僕が最初に飲むことになった。

 

マジでこれを飲むのか…。

 

まぁいいや!飲むだけなら一瞬!

飲み会で一気飲みなら散々やってきた。同じ要領で一気に飲んでしまえ!

勢いよくグイッと飲み干した。

 

死ぬほどマズイ。

 

渋みがすごい。タンニンみたいなゴワゴワ感。

 

先輩たちは躊躇なく一気に飲み干した。

そうして参加者全員が樹液を飲んだ。

 

 

 

 

 

 

しかしなにも起こらない。

 

 

 

みんな変わらず座り続けている。

 

 

 

あれ?なにも起こらないぞ?

 

 

 

10分くらい経ったとき、僕は猛烈な吐き気に襲われた。

ダメだ、耐えられない!

 

空のバケツが目に入った。

だからこれがあったのか!

 

一気に飲んだ樹液がお腹の中から上がってきて、僕はそれをバケツの中に戻した。

そして意識を失った。

 

そのあとはスゴイの一言だった。

サイケデリックなチェック模様の波が僕の方へ押し寄せてくる。

その波に乗ってすごくセクシーな女の人もこっちへ流れてくる。

そして僕の体にそのセクシーな体を絡ませた。

 

めちゃくちゃ気持ちいい。

 

 

僕は欲望に溺れた。

 

 

しばらく経つと

「ハァ、ハァ、アアーン!」という声が聞こえてきた。

どうやら会場内の参加者の女性の声のようだ。

視覚や触覚はサイケデリック世界から受けているのだけど、聴覚は現実の世界から聞こえてくる。

参加者たちの悶え声はどんどん増えて、乱行パーティのような状態になった。

 

 

どのくらいの時間が経ったのか分からなかったが、しばらくして僕は目が覚めた。

 

 

 

ボーゼンとしている。

 

 

 

先輩が言っていたような涙は出ない。

 

 

 

ただただボーゼンとしていた。

 

 

 

気持ちいい。

 

 

 

ほかの人たちも意識を取り戻していった。

やはりボーゼンとしている。

 

全員が意識を取り戻し、10分くらいたった頃、最初に挨拶したブラジル人がまた出てきて言った。

 

「さぁ歌いましょう!」

 

ブラジル風の音楽が鳴り、みんなで歌った。

どんな歌詞だったのか、どんな歌詞を歌ったのかは覚えていない。

ただその奇妙な光景を見てちょっとずつ冷静になっていく自分を感じていた。

 

 

そして思った。

 

 

「これ、ドラッグなんじゃないの??」

 

 

しばらく歌を歌って会は終了した。

 

 

帰り道、先輩たちが言った。

「どうだった? よかっただろ! また明日も来るよな。」

 

そして僕は答えた。

「明日はやめておきます」

 

たしかに気持ちいいし、面白い体験だったけど、先輩たちのように病みつきになりたくないと思った。

基本的に何かに中毒するのはキライなのだ。

正気は失いたくない。

 

「そうか、残念だな。俺たちは行ってくるよ」

 

そうして先輩たちと駅でバイバイした。

 

 

 

これが25歳の時に僕が経験した奇妙な会。

それからもドラッグはやったことはない。

10年以上前にアメリカに行った時、興味もあってマリファナを吸ったことがあるけど、酒で悪酔いして死ぬような思いをしたことがあるくらいだ。

 

あの樹液はやっぱりドラッグだよな。

アメリカでヒッピー文化が花咲いていたころ、サイケデリックなデザインが流行したようだけど、あれはきっとLSDとかの幻覚作用でみる光景を模写したものなのだろうなと今は思っている。

 

たしかにアレは気持ちいい。

 

でもああいう気持ち良さじゃない心地良さが不食や裸足、瞑想にはある。

 

ぼくはこっちの穏やかな感覚のほうが好きだ。

 

刺激より安らぎの方が好きだ。